●薬剤耐性(AMR)とは,抗菌薬(抗生物質,抗生剤)が効きにくくなる,または効かなくなることです。耐性菌が世界中で増え,一部の感染症では従来の薬では治らない,治りにくい場合が生じています。
●薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐために,抗菌薬を服用する際は,医師や薬剤師の指示を守って,必要な場合に,必要な量を適切な期間,服用してください。
【ポイント】
●薬剤耐性(AMR)とは,抗菌薬(抗生物質,抗生剤)が効きにくくなる,または効かなくなることです。耐性菌が世界中で増え,一部の感染症では従来の薬では治らない,治りにくい場合が生じています。
●薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐために,抗菌薬を服用する際は,医師や薬剤師の指示を守って,必要な場合に,必要な量を適切な期間,服用してください。
1 薬剤耐性(AMR)とは
(1)細菌やウイルスなどの病原体によって引き起こされる病気のことを「感染症」といいます。こうした感染症の中で,細菌が原因で引き起こされる病気に有効なのが,原因となる細菌などを殺したり,その増殖を抑制したりする働きを持つ「抗菌薬」(注1)です。抗菌薬は細菌に効く薬で,ウイルスやインフルエンザには効きません。
1980年以降,従来の抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」(注2)を持つ細菌が世界中で増えてきており,すでに,抗菌薬への耐性を持つ様々な細菌が確認されています。このため,感染症の予防や治療が困難になるケースが増えており,今後も抗菌薬の効かない感染症が増加することが予測されます。
注1 抗菌薬
実際の医療では,抗生物質や抗生剤とも呼ばれていることもありますが,本感染症広域情報では細菌を駆逐する薬剤に限定して記載しているため,抗菌薬と表記しています。
注2 薬剤耐性:AMR (Antimicrobial resistance)
特定の種類の抗菌薬が効きにくくなる,または効かなくなることを、「薬剤耐性」と言います。本感染症広域情報では,耐性を得た細菌を「耐性菌」としています。なお,薬剤耐性は,細菌だけではなく,ウイルスや寄生虫(原虫)でも確認されますが,本感染症広域情報では細菌に限定して記載しています。
(2)耐性菌が増えると,抗菌薬が効かなくなることから,これまでは,感染・発症しても適切に治療すれば回復できた感染症が,治療が難しくなって重症化しやすくなり,さらには死亡に至る可能性が高まります。
特に,免疫力の弱い乳幼児や妊婦,高齢者,また,持病を持つ人は,感染症にかかると重症化しやすいため,耐性菌が広まり使用できる抗菌薬が減ると,命の危険が高まります。
薬剤耐性(AMR)は世界中で拡大しており,海外渡航の際にも十分な注意が必要です。
2 薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐには
(1)薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐためには,感染症にかかり抗菌薬を必要とする機会を少なくすることや,感染症を周りに拡げないようにすることに加え,医療の現場で,ウイルスによる感染症を始めとして,必要のない抗菌薬を処方しないという取り組みが重要です。そのためには,医療機関を受診する際に,医師に自分の症状を詳しく説明し,医師が適切な診断を下せるようにしてください。
外務省ホームページ「世界の医療事情」では,各国語での簡単な医療用語を掲載していますので,参考にしてください。
(参考)
○外務省ホームページ:世界の医療事情
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html
(2)さらに,私たち一人ひとりが抗菌薬を適切に使用することも重要です。例えば,「この薬は必ず5日間,飲み切ってください」と医師から処方された薬を,症状が軽くなったからといって途中で止めてしまうことや,「1回2錠を飲んでください」などと処方された薬を,勝手に1回1錠に減らして服用するなど,医師や薬剤師の説明から外れた使い方をすると,十分な効果が期待できません。こうした不適切な使い方をすると,治療が中途半端になってしまうため,新たな耐性菌が出現するリスクが高まります。
薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐためにも,抗菌薬を服用する際は,医師や薬剤師の指示を守って,必要な場合に,適切な量を適切な期間,服用してください。
もし以前に処方された抗菌薬が残っていても,それを自己判断で飲むことは止めてください。似たような症状でも,原因となる細菌が異なる場合があり,例え同じ細菌だとしても,中途半端な抗菌薬の使用は,耐性菌を増やす原因になりかねません。
(3)また,耐性菌には有効な抗菌薬がないことがあるため,耐性菌に感染しないことも重要です。感染を予防するためには,日ごろから,石けんを使った正しい手洗いの徹底やアルコール消毒,マスクの着用,うがいなどが重要になります。また,生活や食事,休養などに配慮して,健康に気をつけることも大切です。
抗菌薬に対する正しい知識を持ち,正しい使い方をすることで,薬剤耐性を広げないようにしてください。
(参考)
○内閣官房国際感染症対策調整室の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/infection/activities/amr.html
○厚生労働省:薬剤耐性(AMR)対策について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html
3 海外渡航の際には万一に備え,家族や友人,職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は,大使館又は総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう,必ず在留届を提出してください。( https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet )
3か月未満の旅行や出張などの際には,渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができるよう,外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。( https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/ )
(問い合わせ先)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902,2903
(外務省関係課室連絡先)
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)2306
○海外安全ホームページ:
http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://www.anzen.mofa.go.jp/sp/index.html (スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
情報源:外務省 海外安全情報オープンデータをもとに作成しています。
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