体験インタビュー(前編)


海外渡航する方必見!海外で感染症にかかった壮絶な体験談(前編)

海外で感染症にかかった方に実体験をお伺いしてきました。
感染症の大変さ、言葉の通じない海外でのやりとりや、海外の病院での過ごし方、費用など細かくお話してくださいました。
海外渡航をお考えの方にぜひ読んで頂きたい内容です。

※ 各国の感染症の発生状況や医療機関の状況は、当時とは変わっている場合があります。最新の情報は記事の以下に記載したリンクを参照する、医療機関へ相談するなどしてご確認ください。外務省『世界の医療事情』

野澤 健さん
職業:企業のCSRや環境・社会面の取り組みを支援する会社で働く。
10年前に大学を休学中に半年の世界一周の旅に出て、その旅の途中でマラリアに感染したことが発覚。

※マラリアとは・・・マラリア原虫を持った蚊に刺されることで感染する病気

(参照:FORTH https://www.forth.go.jp/useful/malaria.html

◼こんなはずじゃなかった!世界一周旅行中のハプニング

ー まず海外渡航された目的をお聞かせください。

大学4年の後期から1年間休学をして半年の世界一周の旅に出ました。旅は一人でしていたのですが、目的地には留学している人やNGOの職員、青年海外協力隊として派遣されている知り合いがいました。

ー マラリアに感染されたのはどこの国でしたか?

マラリアに感染したのはソロモン諸島という島国でした。ただ、移動しながらの旅行だったので蚊に刺された国と発症した国が違ったんです。マラリアに感染したのはソロモン諸島ですが、発症したのは他の国でした。

ー ソロモン諸島ではどんなことをされていたのですか?

NGOが現地で有機農業の研修所を開講しており、そこに泊まり込んで現地の参加者と共に2週間農業を学んでいました。本来であれば、そのあとに南米、アフリカと行って帰国する予定だったのですが、マラリアに感染してしまったので世界一周の3ヶ月目くらいで帰国しました。なので行く予定だった国への航空券がまだ残っています。もう使えませんが(笑)

ー いつ頃マラリアが発症したことに気づいたのでしょうか?

蚊に刺されたのはソロモン諸島(下記図内赤い丸印)から出る直前くらいだったと思います。次の目的地ホンジュラスに向かう日の朝、泊まっていた場所を出るときに「今日は体調が悪いなぁ」と思っていて、ホンジュラスまでの夜行便に乗っている最中に更に体調が悪化しました。移動中はずっと寝ていてほとんど記憶がありません。
現地に着いてゲートで待ってくれていた知り合いが、青年海外協力隊として現地で働いていた隊員でした。医療機関とのつながりがある人だったので、そのおかげですぐに病院へ連れて行ってもらいました。

(ソロモン諸島から1〜2週間かけてホンジュラスへ移動)

◾︎検査をしても原因不明と言われることがある!?

最初に着いたのが、ホンジュラス第2の都市サン・ペドロ・スーラという場所でした。その時点で発症から2日目で、サン・ペドロ・スーラの病院に連れて行ってもらったところ、体調不良の原因がわからなかったのです。マラリアの疑いもあるということで検査をしてもらったのですが陰性と出てしまったので、原因がわからないまましばらく様子見となりました。

ー 原因が分からないという不安はかなり大きいですよね

原因不明のまま4日間滞在し、その4日間は様子を見たり、病院に行ってもう一回検査をしたりしました。その間はホテルや知り合いの知り合いの家に泊めてもらいましたね。
症状が重くなる一方だったので、もっと大きな病院に行くため首都のテグシガルパに車で6時間かけて移動しました。テグシガルパにある、ホンジュラスで一番大きな病院で検査を受けたところマラリアと判明し、そのままICU(集中治療室)に入りました。発症してから入院するまでに7日間くらいかかりました。

ー ところで、なぜソロモン諸島で感染したと分かったのでしょうか。

ソロモン諸島はマラリアの汚染地域といわれるくらいマラリアが多く発生している場所です。そして、マラリアの潜伏期間がだいたい1〜2週間くらいと言われています。発症の時期から考えてソロモン諸島だと推測できました。

ー 後編に続く ー

後編では、野澤さんの体験したマラリアの症状、ホンジュラスの病院の様子や入院費用などを詳しくお話いただきました。
海外渡航する方にとっては他人事ではない出来事です。ぜひ後編もご覧ください。(後編はこちら

※ 冒頭にも書きましたが、「マラリア」とは蚊を媒介して感染する感染症です。2018年11月に公表された統計によると年間2億2,000万人が感染し、43万5,000人が死亡している恐ろしい病気です。マラリアに感染する恐れのある国は少なくありません。また、それ以外の感染症も注意が必要なので、海外渡航する前に行く国にはどんな感染症があるのか調べましょう。

(参照:FORTH https://www.forth.go.jp/useful/malaria.html)